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2025.11.13 from the CEO

<2025年10月を振り返って>山内英貴

代表取締役CEO兼社長
山内 英貴

10月も史上最高値を更新して堅調だった株式市場は、11月に入ってやや調整気味です。AI関連をはじめとするごく一部の大型グロース銘柄が牽引したこのところの上昇は異形のものともいえ、市場ではさすがに過熱に対する警戒感も広がっていましたので、季節的にもポジション調整が入りやすいタイミングで利食いが頭を抑えている印象です。

一方、主要国では、拡張的財政政策と緩和的金融政策というインフレ型の経済政策が続くことになります。これは、株式や不動産などリスク資産にはプラスで、国債や現預金のような無リスク低リスク資産には逆風、金や暗号資産など通貨からの退避需要が短期的には顕在化しやすい環境です。とくに、中央銀行と政府の距離が近いものになると、金融政策には緩和的圧力がかかりやすく、積極財政もあいまってイールドカーブはスティープニングな状態が続き、インフレ圧力に対する中央銀行の対応は遅れがち(英語でビハインド・ザ・カーブと呼ばれる状況)となる可能性が高いと考えています。また、日本を筆頭に、実質短期金利がマイナスという状況は、金融資産の保有者である家計には逆風、公的債務が膨張している借り手である財政には追い風となります。それを示す一例として、日本の公的債務は2020年の対GDP比260%超をピークに、ここ数年で大きく改善(220%台に低下)しています。(分子の)公的債務残高の膨張以上に、インフレによって(分母の)名目GDPが拡大しているからです。このように、家計が実質購買力低下というコストをあまり意識せずに負担する一方、公的債務の実質返済負担が改善する状況はときに「インフレ税」と称されます。

先月更新したビッグ・ピクチャーでも述べている通り、インフレ環境への転換という見立てが間違っていないのであれば、既述の通り、株式投資には順風、債券投資には逆風となり、20世紀に確立されたとされる株式・債券の分散ポートフォリオは以前ほどうまく機能しない可能性があります。

GCIエンダウメントファンドの骨子は、いつもの繰り返しになりますが、リスク管理を最優先した「長期分散」投資をシステマティックに継続することです。また、前述のビューも反映し、インフレ的な環境でグローバル経済の成長から果実を期待できる株式と、市場のボラティリティを収益源のひとつとして債券に代替し得るヘッジファンドをポートフォリオの中核として、円ベースでのリスク管理を最優先し、安定的な成果を受益者のみなさまとともに目指してまいります。

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