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楽天証券・楽天投信投資顧問との業務提携のお知らせと背景
当社GCIアセット・マネジメントは、2024年11月7日に楽天証券・楽天投信投資顧問との業務提携を締結したことを発表させていただきました。
提携の背景をお話しさせていただきます。
GCIとは?
まず、これまでの記事にもある通り、GCIは主にオルタナティブ運用を特徴とする運用会社です。具体的には、株や債券など、皆さんに馴染みある資産を買持ちするだけではなく、ヘッジファンドのようにショートやレバレッジを活用するなどの手法で運用を行うことを得意としています。
そもそもオルタナティブ(=代替的)運用というのは、「伝統的」運用手法に対して「代替的」な運用手法、を指しています。以下の表で言うと、赤いセルのエリアがGCIが主に扱っている分野になります。これに対し、似たような言葉で、オルタナティブ資産があります。2024年はオルタナティブ資産の公募投資信託が話題になりましたが、こちらは青いセルの部分に相当するものです。伝統的資産に対して代替的な資産を、基本的に買持ちオンリーで運用するものです。
オルタナティブ運用については、『ヘッジファンド解剖学』の連載記事で詳しく扱っていますので、さらに掘り下げたい方はそちらをご覧ください。ちなみに現在NISAで対象となる投資信託は、基本的に伝統的資産を買持ちのみで運用するものに限られています。

GCIはこれまで、こういったオルタナティブ運用戦略を、機関投資家向けに提供してきました。機関投資家というのは、国内外の銀行・地方銀行・生損保・企業年金や各種法人など、いわゆるプロ投資家を指します。
そんなGCIが、楽天証券と業務提携をして何をするのか?
先ほどのプレスリリースから、(順番は前後しますが)我々のメッセージの核となる部分を以下に抜粋してみました。
「昨今、個人が運用する金融資産のポートフォリオは、株式や債券等の伝統的資産に偏る傾向がある」
2024年は新NISA元年となり、非常に多くの方が資産運用に関心を持ち実際に運用を始められ、現預金比率が依然として高い日本にとって大きな変化の年となりました。2024年6月末時点の個人金融資産は、有価証券の占有比率が20.5%、現預金が51.0%となっており、例えば2022年末がそれぞれ15.8%、54.8%だったことからすると、個人の投資が進んでいることが確認できます。ちなみに有価証券のうち、債券は横ばいである一方、株式と投資信託の占有比率が増えています。(日本銀行『資金循環統計』)
一方で、近年のインデックス運用の隆盛と、NISAの積立て設定の上位ファンドなどを見ると、近年の個人投資家の運用資産は株式、特に海外株式の比重がかなり高まったポートフォリオとなっていることが推測されます。

「楽天証券の顧客基盤と、楽天投信投資顧問の商品開発力、GCIアセット・マネジメントのオルタナティブ投資戦略の知見を融合させ、個人がより充実した資産づくり・運用ができるような革新的な投資商品の提供を目指す」
株式、特に米国株式のインデックスは、その時代を代表する世界的な大企業・成長企業の株式の集合であり、世界経済の成長の証として、超長期のリターンは他の資産よりも高く推移してきました。故にリスク許容度の高い個人投資家であれば、株式がポートフォリオの核となることは当然とも言え、個人の長期資産形成における主要なドライバーの一つとなるでしょう。

ただ、長期の資産運用では必ず訪れる景気の調整局面に、株式に偏重したポートフォリオでも心穏やかに投資を継続できるでしょうか。
短期で考えると経済にはどうしても循環というものがあります。好況もあれば不況や需給の調整期も必ずやってきます。在庫調整による3-4年程度周期の短期波動、設備投資の動向による10年程度の中期周期、またより長い周期の景気循環があるという説は広く知られています。ところがリーマンショック以降、比較的長きにわたって大きな危機が起きていません。2023年3月に米国地方銀行を発端とした金融危機が発生しましたが、リーマンショックのような連鎖は起きずに済んでいます。右肩上がりの株高・円安が近年続いてきたことで、リスクに鈍感になってはいないでしょうか。
「下がっても長期的には上がるなら株だけ持っていれば良い」というのは尤もな意見のようですが、例えば不動産が安くなって購入したいタイミングには、得てして株が大きく下がっていて売るに売れず現金化できないものです。
GCIが提供するオルタナティブ運用戦略には、株や債券などの資産との相関が低いものが多くあります。ショートを活用する戦略では、下落局面も収益化できる、つまり通常の株式と逆相関の動きをする可能性もあります。このようにある期間のリターンの高さが同程度でも、それぞれが異なる要因や異なるタイミングでリターンを上げている状況を、資産間の相関が低いといいます。さらに、これらの相関の低い資産同士を組み合わせて保有すると、全体のリスクを下げることにもつながる効果が得られます。(この点は、次回の記事でもう少し詳しく説明します。)こうした、オルタナティブ運用を活用する意義については、より詳しくは『米国の大学エンダウメントの歴史的発展』『エンダウメントの資産運用を日本の個人投資家が再現するための手法』をご参照ください。
そして、個人が購入していただける、そういった運用商品は意外と少ないと思うのです。
これに対し、GCIの知見を活用することで、「個人がより充実した資産作り・運用」を行うことに貢献できるのではないか。インデックスファンドが増加している今だからこそ、併せ持つことが効果的なオルタナティブ運用商品が、新しい選択肢となるのではないか。
そして、それを実現する最強のパートナーとして楽天証券・楽天投信投資顧問様に思いにご共感いただき、共にゴールを目指すこととなった次第です。
具体的な運用商品につきましては、準備が整い次第またご紹介させていただきます。これからの展開にご期待ください!